2000/08/08
生気を失った私は鬼門の山小屋から
一歩一歩離れて行こうとしているのだが
思うように進まない
頭が割れそうな位痛い、心臓もバクバクと・・・
まだけがした少年を引きずっているのかと
頭を過ぎる
聖域に近づけば楽になるはずなのに
いったいどうしたのだろう
下半身が思うようにならない
数人を引きずって山登りをしているようだ
最初に夜道を歩きますか? と聞かれた時に
断れば良かったと後悔が始まっていた
私と霊との戦いが始まっていたようだ
マントラを唱えながら歩みはじめた・・・
下界での悩み苦しみも今払い落とすかのように
私に襲いかかっている
これも試練なのかと・・・
そう思えた瞬間だけ身体が幾分軽くなっている
思考能力が働きはじめたようだ
身体もだんだん鎧がはがれていくように
軽くなりはじめた
景色が色とりどりに視線に入ってくる
地獄からはい上がって来たように思えてならない
気高く厳しい白山のイメージが
やっと穏やかに変わりはじめた
雪解けもやっと終え初春が訪れた大地に
高山植物たちが色とりどりに私達の目を
楽しませてくれる
まるでユートピアに免れたように
耳を澄ませば鳥たちの声が
山々の景色は小花が咲き誇り
大地と大空がにシンクロしてゆき
夢と現実の境界が
無くなってしまったようだ
つづく